むし歯治療
むし歯治療とは
むし歯の原因
お口の中に住んでいるむし歯の原因菌は糖分をエサとして、歯の表面にネバネバしたプラーク(歯垢)を作ります。細菌はプラークの中で増殖して酸を作るため、磨き残しが多くプラークが残っている場所は酸で歯が溶かされてしまいます。これが「むし歯」です。
糖分の取りすぎや、ダラダラと時間を決めずにおやつを食べる習慣があると、むし歯のリスクを高めます。また歯磨きをせずに時間が経過すると菌が増殖してしまい、お口の中は不衛生になってしまいます。そこに歯の質の弱さが重なると、歯はどんどん溶けてむし歯が進行してしまいます。特に乳歯は永久歯に比べて歯の質が弱く、むし歯の進行が速いので注意が必要です。
このように、むし歯になる原因は「細菌」「糖分」「時間」「歯質」が大きく関係しています。むし歯予防のためには、食後の歯磨きや甘いものを控えること、歯質を強化することなど、生活習慣の見直しやオーラルケアがとても重要なのです。
なるべく削らない治療
当院は患者さまが健康な天然歯を長くお使いいただけることを目指しています。日々、「ご自身の歯で美味しい食事が摂れる」ということが、いつまでも健康で若々しくいるためにとても大切なことだと考えるためです。
歯がむし歯になると「治療」といいますが、実は一度削ってしまうと歯質が再生することはなく、むし歯治療はあくまでも「修理」なのです。一度削った歯は修復部分との隙間からむし歯が再発しやすくなります。
そのため、診察時にむし歯を発見した場合でも、できる限り削ることはいたしません。「HEINE」というルーペを用いて削る箇所を最小限に留め、健康な歯質を残しながら治療を実践しております。
また、治療中の患者さまの負担を軽減するために、表面麻酔や電動麻酔を用いた「痛みの少ない治療」を行ってまいります。
できるだけ神経を残す治療(歯内療法)
30年以上前の話になりますが、私は中学時代の部活動中に友人の肘が顔に当たり歯が欠けてしまいました。受診をした歯医者さんで神経を抜くことになりましたが、中学生の自分には神経を残せるかどうかを判断する知識がありませんでした。「もし神経が残せていたら」と思うと悔やまれてなりません。なぜなら以降、噛む感覚が以前と異なることに気付いたのです。その経験から、しっかり噛んでおいしく食事を楽しむためには、やはり神経が生きている歯であることが大切なのだと、身をもって実感しました。このような実体験から、同じ思いをする患者さまを少しでも減らしたいと考えています。特に未成年の方には、緊急性が無い限りはご家族へ神経を抜く事の説明をさせて頂いています。
神経がある歯と失った歯は、いわば生木と枯れ木ほどの違いがあります。神経を失うと歯質がもろくなっているため、固いものを噛んだ拍子に折れてしまうことがあります。長くご自身の歯の健康を維持するためにも、「できる限り神経を残す治療」を実践してまいります。
進行度に合わせた治療
初期のむし歯(CO)
初期むし歯とも呼ばれます。歯の表面がくすんで見える状態です。
まだ元の健康な歯に戻る可能性がありますが、放っておくとむし歯が進行してしまいます。
- 《治療方法》
- 歯のクリーニングを徹底して、経過を観察していきます。
初期のむし歯(C1)
歯の表面をおおっているエナメル質が脱灰(歯が溶ける)している状態です。
痛みはあまり感じませんが、歯の表面が白くにごっていたり、茶色などに変色してザラつく事もあります。
- 《治療方法》
- 削るとしても少なく済み、詰め物による最小限の治療で改善します。
進行したむし歯(C2)
むし歯が象牙質の層にまで進行し、穴があいています。
冷たいものを食べると歯にしみることがあります。
- 《治療方法》
- むし歯部分を取り除き、詰め物を詰める処置を行います。削る量が多くなると、全体を覆う被せ物になることもあります。
詰め物による処置
e-max
e-maxは新しいタイプのセラミック素材です。適度な硬さで天然歯を傷めることがありません。強固に接着するため、治療した部分が再度むし歯になりにくい特徴を持っています。色調調整可能で自然の歯の色に近い仕上がりが可能です。
費用(税込):46,200円~
歯髄まで進行したむし歯(C3)
むし歯が大きな穴になって象牙質のすべてに及び、神経まで達したむし歯です。
何もしていなくてもズキズキと激しい痛みを感じるようになります。
- 《治療方法》
- 神経まで細菌に侵された場合、神経を取り除く歯内治療を行う必要があります。
- 神経が死んでしまうと歯はもろくなりますので、被せ物による治療を行います。
被せ物による処置
ジルコニア
ジルコニアを内部に使用することで強度を保ち、外側には透明度の高いセラミックを焼き付けます。セラミックにより色を調整できるため、天然の歯のような細かい色の再現が可能です。
費用(税込):50,500円~
歯質が失われた歯(C4)
歯のほとんどが崩壊した状態です。歯の根まで細菌に感染し化膿します。
このままにしておくと神経が腐敗し、歯周病のリスクが高まります。
- 《治療方法》
- 多くの場合は抜歯が必要となります。
- 失った歯を補う治療として、入れ歯やインプラントを検討します。
メインテナンスできれいな歯を維持できます
毎日どんなにていねいな歯磨きをしても、歯ブラシでの清掃ではお口の汚れの60%程度しか落とせないといわれています。そこに歯間ブラシやデンタルフロスといった清掃補助具を追加しても約80~85%程度と、ホームケアで完全に汚れを落とすことは難しいのです。
そこでぜひ、定期的に歯科医院で行っているメインテナンスを活用してください。お一人おひとりの状況に合わせた間隔で、むし歯や歯周病のチェックや、専用機器で細かい部分まで清掃をおこなったり、ホームケアのアドバイスなどを受けることができます。
定期的なメインテナンスの継続で、健康できれいな歯を維持していきましょう。